室町時代創業の菓子司の本気を見た。「赤坂虎屋菓寮」

赤坂・六本木

 「赤坂虎屋菓寮」(東京・港区赤坂)

誰もが知る、老舗和菓子メーカー「虎屋」。
羊羹が有名だけれど、美味しいのは、和菓子だけじゃない。
ここ「とらや赤坂店」の”500年の歴史をもつ菓子司の、本気をビリビリ感じる御膳”もスゴいのです。

赤坂御所の目の前で一際目を惹く、「とらや赤坂店」。2018年10月にリニューアル。
”来客者の居心地が良い店”を目指して作られたそうだが、実際、私はついつい長居の常習者。

この空間で過ごせるだけでも、来てよかった「虎屋菓寮」。

赤坂御所の緑を目前にする大きな窓。
新緑、桜、紅葉…いつ来てもベストシーズン。

これがその、菓子司のつくるお食事膳「季節の食事」です。もはや芸術品。
献立は2ヶ月〜2ヶ月半程の周期で入れ替わる。
元来、和菓子は植物性の原材料だけを使って作られている。この食事膳も同様だ。
11:30からのランチタイムのみ提供のメニューで、この日は13時で完売していた。

目にも美しい「ちらし寿司」
薄紅色に染められた酢蓮根、歯ごたえの残る春野菜たち、油揚げの含め煮。
花柚風味の酢飯に、小豆が入っているのも菓子司らしい。

さらに、お米の炊き加減にも感動。
浸水、火の入れ具合、寸分の狂いもない感じにしびれる。
まさに和菓子職人の妙技!

「うすい豆の白玉団子椀 菜の花」
もちもちとした白玉団子のなかには、裏漉ししたうすい豆のうぐいす色の餡が。

「よもぎ麩の田楽 山菜の天ぷら」
天ぷら専門店より美味しいかも (@_@) 
衣はどうやって付けたの…?という薄さ。油っこさ一切なし。
口中に春の山菜の薫りがひろがります。

山菜天ぷらのかげに隠れているのは、京生麩の専門店「麩嘉」のよもぎ麩の田楽。
春の薫り、甘みのある味噌。本当はもっと沢山食べたいくらい…。

「沼田の湯葉 自家製 柚子七味」 
「ふきの煮物、豆の佃煮、春ごぼうのきんぴら」
湯葉の甘み、旬の野菜の味…しみじみ感じる椀の数々でした。

職人の精緻の極みを味わえる「季節の食事」は、1人前3850円。
手軽ではないけれど、食べた後になってみると、断然納得できてしまう。

御膳をいただきながら、
子供のころ、土手でつくしを摘んだり、友達と寝転んでかいだ春の野の土のにおいまでが、甦った。
創業500年の菓子司の職人の本気ってスゴい。

そして、食後に供される和菓子。
数種類の「季節の生菓子」のなかから、もしくは赤坂店限定の焼き立ての「残月」から、おひとつどうぞ。

半月おきに入れ替わる「季節の生菓子」は、どれにしようか。選ぶのも一苦労。


通常、蒸してある饅頭だが、揚げたものを頂けるなど、赤坂店限定のお菓子が登場することも。

「残月」は、注文ごとに御用場で生地を焼き上げて、出来たてを頂けます。
これも、赤坂店限定のサービス。

2階の売店で、菓寮とおなじ和菓子をお土産にすることもできます。

建築家・内藤 廣氏による設計。
壁から天井に至るまで奈良県産の吉野ヒノキが使われているそう。

地下のギャラリーでは、「とらやと楽しむ寅年」展を開催中でした。
虎屋の歴史と「寅」にちなんだ色々…が展示されていました。

〝虎屋の味は絶対なのか?〟
歴史が長い分、つい思い込んでしまっていることは少なくない、という考えのもと、
社員たちに目隠しをさせて、自社の商品はもとよりさまざまなお店の羊かんを試食して、
出てきた意見を大切にしているという現虎屋の社長の試みも知りました。
先人が築き上げてきた味を大切にしつつ、さらに高みをめざす姿勢。
500年続く老舗とはいえ、かくも謙虚に励んでいる。

それにしても、良い食事をしたせいなのか、心も体も軽くなった?気がする。
毎週…は食べられずとも、月一くらいでは通いたいな〜
ごちそうさまでした!

とらや赤坂店 虎屋菓寮
東京都港区赤坂4-9-22 3F
11:00〜18:30 ラストオーダー18:00(平日) 
11:00〜17:30 ラストオーダー17:00(土日祝)