週に3日のおたのしみ。身も心も温まる神保町「菊水」へ

神田・神保町

「小料理 菊水」(東京・神田神保町)

神保町が大好きだ。
もう好きで好きで、仕様がない。
叶うことなら、住みたいくらい!

大学や出版社、古書店や書店街が多い神保町は、アカデミックな雰囲気が漂い、
美味しい飲食店がいくつもあって、小さなお店がごちゃごちゃ混在していて、
アテネ・フランセのある山の手の方なんて緑も多くて、もう雰囲気は8割方パリである。
日本のカルチェ・ラタンと言われているとかいないとか。

古書店でじっくりお気に入りの一冊を物色するおじさま、
喫茶店でひとり文庫本片手に読書するOLさん、
信号がかわりそうな横断歩道を、待つ車にさりげなく手で挨拶をし小走りで急ぐサラリーマン____
赤信号になっても歩きスマホで、悠長に歩く若者の姿に呆れ、疲弊しつつある私には、
神保町は、街ゆく人さえ好ましい。

「え、そんなに神保町が好きなのに、まだあの店行ったことないの?そりゃモグリだね」
なんて言われそうで気が気じゃなかった、前々から気になっていたお店がある。
前を通りかかると、いつもサラリーマンが次々入ってく。たまに並んでる。
そう、それは神保町「小料理 菊水」。その暖簾を年末、ついに私もくぐった!

もう、目に飛び込んでくる単語が美味しそうでしょう?

「いらっしゃいませ!」ハキハキとしたご主人の掛け声もうれしく、11時10分にいそいそ着席。まだ空いてる!
12時を過ぎるといつも満席の人気店だけれど、営業開始が余所よりちょっと早めなのもありがたい。

さて、なににしようかな。
週替わりの炊き込みご飯も美味しそうだし、入口から気になっていたカキフライもいいな。悩む〜
「まぐろのづけ丼は今月休みますね」の「ね」に、店主の優しさがにじむ。

「芋と新米とお酒と塩だけで炊いた、素朴な甘さです」
ああ、手書き文字がとってもエモーショナルよっ。
さつまいも、カボス、牡蠣らしき丸…のイラスト展覧会。なごむ〜

「せっかくのお昼休みをお願いが多くて申し訳ないです」ここでも優しみがチラリ。
ご主人らしきイラストも誰が描いたのか、けっこう似てる。

この日の週替わり炊き込みご飯定食。
エビフライ、青菜の御浸し、さんが焼き、そしてさつまいもの炊き込みご飯。
想像通りのやさしい甘さ。心までほんわか。これで1000円!

こちらは火曜、水曜限定の「カキフライ定食」(1200円)

きゅうりの漬物と比べてください、このカキフライの大きさ。
カリカリでサクサク、そしてジューシー。早い時間に来た方が大ぶりの牡蠣が供されるみたいでした。
また、お供のかぼすが蜜柑のような甘さで美味しさ倍増!お味噌汁にもいれちゃおう。

また、別の日は「鮭と冬大根の炊き込みご飯」。
副菜にちょっと揚げ物があるのも、満足感が増す秘密なのかも。ぜひ、しみじみと味わっていただきたい。

LET’S しみじみ…

甘く煮た揚げに、卵を入れた煮物。やだ、これ美味しい〜

帆立?と見まごうやわらかさのイカフライ。かぼすがまたね…何にでもかけて使いきる。

カボスはフライにもみそ汁にも、副菜にもどうぞ。

たくあんを食べたら出てきたウサギちゃん。2023年の干支だから?

箸袋に「一陽来復」(よくない事の続いた後にいい事がめぐる)の文字。
ちょうど冬至の時期だったこともあるけれど、
「菊水」で見るとなんだか良いこと起こりそうな予感…がする。
菊水にはいつも、そんな「陽」の雰囲気を感じるのだもの。

サラリーマンのおじさまには「ちゃんとお腹いっぱいになりました?」
ご近所から食べにきているらしき高齢の女性には、
「今日はごはん食べられた?たくさん食べなきゃだめよ」とやさしく声をかける女将さん。
私にさえ「あら〜お姉さんスリムなのに全部食べたのね!ごはん減らすか聞き忘れちゃったから心配したけど、偉いわ〜」なんて優しい声をかけてくれるから、思わずほっこり。

年明けにいそいそ伺ったら、ヤクルトを来店者全員にお年始に配っていた。
「今年は健康でありますように〜」とひとりひとりに女将さんが声をかけていた。やさしい…

「幸せな一年でありますように」
ホントそうですね!

年始の定食には、お節までつけてくださいました

この日のメニューは、甘〜い深谷ネギを使った「深谷めし」。
いや、炊き込みご飯のバリエーションがいつも好みのど真ん中!

ああ、また神保町に好きな店がひとつ増えてしまった…
「菊水」を出ると、なぜか身も心までもが温かい。

菊水は、毎週月火水の3日間のランチタイムのみの営業。
2023年も足しげく通いますから、待っていてください!
ごちそうさまでした。

小料理 菊水
東京都千代田区神田神保町1丁目38
[月・火・水] 11:10~14:00
定休日 木・金・土・日