夫、「古月」で生き返る。

新宿

 

「古月 新宿(こげつ しんじゅく)」(東京・新宿区)

夫が、賞味期限の盛大に切れたハムをこっそり食べて、食あたりになった。
曰く「熟成が進んでおいしくなっていた」とのことだが
案の定、その日の夜から、水すら飲めくなってしまった。
翌日も丸一日何も食べられず、床の上で水をなめなめ、くの字になって寝るだけの状態が続いた。
3日目の昼前、「何か食べれるものある?」と尋ねると、起き上がりひと言。

「や…薬膳…」

というわけで訪れたのは、中華料理店「古月新宿」。
新宿御苑に面した通りにひっそりとある。

土曜日11時半の開店すこし前にのんきにやってきたら、このあと5分とたたずに満席に。人気..!
フラフラの病み上がりを連れていたので、あぶなかった….(^-^;)

ランチメニューは大きく2種類。
お目当てはこの「季節の養生スープ」!
スープ単体では、2名分からしか注文できないそうだけれど、
ランチセット(1300円)の野菜スープを+650円で養生スープに変更できるそうなので、それをお願いした。

待つ間、店内の図書コーナーに興味深い本を発見。
『顔をみて病気をチェックする本』…!?
顔色、皮膚や頭皮の状態などを見るだけで、体のどの場所が病んでいて、どんなものを食べるとよいかがわかるのだそう。
そういえば「古月」の料理長、前田さんは中国政府公認の「中医中薬学会薬膳分会」の高級営養薬膳師の資格を持つ人らしい。うぅ〜楽しみ!

まずやってきた「四川マーラー豆腐」のランチセット。
メインのほか、サラダ、養生スープ、おしんこ、ごはん(おかわり一杯は無料)

あまりにも辛そうな見た目に怖気づきつつ一口頂くが、拍子抜けするほど辛みは感じられない。
「あれ?薄味だし、意外と普通だな…」
パンチの強そうな印象に反して、意外に穏やかな味わいなことに驚く。

以後、加速度的にご飯はすすみ、
茶碗の底が見えるころ、最後まで決して飽きない美味しさにハタと気づいた。

それにしても花山椒、豆鼓以外、何のスパイスが入っているのかさえ私にはわからなかった。
おそるべし!魅惑の四川マーラー豆腐。美味しかった〜

マーラー豆腐を頼むとついてくる、花山椒のプッシュ式ハンドミキサー。面白がってかけまくる夫。
空っぽの胃に大丈夫なのか? みなさんは、お好みでどうぞ

もうひとつは「エビとれんこんの塩味炒め」のランチセット。
海老のプリプリ、蓮根の歯ごたえ、あっさり塩味でうまくまとめられ、色味も綺麗!
食材にはそれぞれ薬膳としての効能があるわけだから、さらにお箸もすすむ。
たとえば、11月〜2月に旬をむかえる晩秋蓮根。
薬膳では粘膜を保護したり、最高の咳止め薬になったり、免疫力をあげる効果もあるようだ。

そして、楽しみにしていた「季節の養生スープ」。
体の機能を整えるこのスープは、季節ごとに内容もかわるのだそうで、
今日のスープは、寒さが厳しくなるとダメージを受けやすい腎臓に良いとされる栄養がつまっているそうだ。

季節ごとに体が必要なものを食べて養うことで、病気を予防し、治療しようとする医食同源(いしょくどうげん)の考え。その叡智の結晶スープ、疲れていた体にしみ渡ったのでした…

養生スープの具材は、このタレにつけていただきます。

デザートの「パッションフルーツと文旦のココナッツ杏仁豆腐、シアシードソース」も素晴らしく美味しかった。

一日半のあいだ水分以外は何も口にしていなかった夫も完食。帰り道は、たしかに元気になっていた。
空っぽだったお腹が満たされた…だけではない、まさに養生=生命を養われた、という感じ。
また来る予感いっぱいで店を後にした。
ごちそうさまでした。

古月新宿(こげつしんじゅく)
東京都新宿区新宿1-5-5御苑フラトー2F
ランチ 11:30~14:30(L.O.14:00)
月、火曜定休