主婦、谷川岳に挑む。

主婦挑むシリーズ

なぜ、山にのぼるのか。そこに、山があるからだ。

ジョージ・マロリー(1920年代初頭にエベレストへの3度遠征したイギリスの登山家)

山登りいつかしてみたい…なんて言ってきたけれど、一体いつするの!?と思い至る。
よっしゃ、この夏休みだ!

ジョージ・マロリーの山はエベレストだったらしいけれど、私は谷川岳へ。
日本百名山のひとつなのに、ロープーウェイで途中まで連れて行ってもらえるらしい。
かなり険しそうだからロープーウェイで行って、
ダメそうなら途中の景色を見て帰るんでもいいや。

息子たちに、一応LINEで谷川岳に行ってくると告げると、
「しなないようにきをつけてください」(なぜひらがな?)
と、現在大学で山岳サークルに所属する次男。
さらに、中・高・大と山岳部の長男からは、
「谷川岳は世界で一番遭難者が多い山です。どうかお気をつけください」

え…そうなんだ

初めての事実を知りビビる。
ダジャレを言っている場合ではない。

死者数のギネス記録 1931年(昭和6年)から統計が開始された谷川岳遭難事故記録によると、2012年(平成24年)までに805名の死者が出ている。 世界各国の8000メートル峰14座の死者を合計しても637名であり、この飛び抜けた数は日本のみならず「世界の山のワースト記録」としてギネス世界記録に記載されている。

引用:谷川岳 wikipedia

でもまあいいか。無理せず、行けるところまで行ってみることにしよう。
ただ人様に迷惑をかけないように、最低限の必須装備を購入し、さあ出発だ!

東京から車で3時間ちょっとで、群馬県みなかみ町の谷川岳ロープーウェイ乗り場に到着。
↓このオレンジ色とピンク色の「谷川岳山頂登山コース」を行きます。

往復5時間のコースかぁ。
頑張るぞ〜

まずは、土合口駅から天神平駅までのロープーウェイ。
所要時間10分で、1300mまで連れて行ってくれます。ありがたや…(´Д`;人)

眼下には切り立った尾根や、川、残雪も見える。あ、カケスも飛んでる!
ロープウェイなしでの登る登山ルートらしきものも見えたり。

天神平駅から再び、峠リフトに乗り換える。天神峠駅(1500m)まで7分。
野原の上をのんびり、地表スレスレをスキーリフトのように進む。ワクワク〜

さあ、こっからはついに歩き。あちこちから小鳥の声して、山に来た感が増す。
標高が1000m近く上がって、少しひんやり。

天神平駅があんなに小さくなっちゃったよ…

だんだんと険しい岩ばかりの道になり、ついに鎖場登場! ヽ(゚Д゚ )
岩に取り付いて、ぐんぐん登ります。

人間て、見えない丘の向こうにはゴールがあると期待しているものなのね…と実感。
期待は虚しく、登った先に道はまだまだ続くのでした。

振り返ると、ああ!こんなに登ってきたんだ〜
と思うも、まだまだ道は続く…。

谷川岳は稜線上を歩く。ルートの左右は切り立った崖。
ガスなのか霧なのか、雲なのか。
幻想的できれいだななんて一歩踏み出しそうものなら…真っ逆さまです。

見たこともない高山植物がたくさん。
名前を知っていたらもっと楽しめるんだろうな。

途中、「肩の小屋」(1912m)でベンチに腰掛け、
持参したおにぎり、お茶、行動食の乾燥デーツなどを食すと…

こっ…米とデーツ、うめぇ〜!ლ(´༎ຶД༎ຶ)

異次元の美味しさでございました…

さあ、もうひと頑張り!
ところどころ立ち止まり、絶景を楽しみながら登る。

谷川岳は、別名「耳二つ」とも呼ばれる双耳峰(頂上がほぼ同じ標高で犬猫の二つの耳のように並んでいる山のこと)の山。
まず1つ目の山頂トマの耳(標高1,963m)に到着。

登山者があんなに小さい。まるで、ジオラマの中の人間のフィギュアみたいに見えるのです

ここは日本かマチュピチュか!?  すごい天空世界が広がっていました。

写真で見るとなんて美しい…でおしまいですが、実物はもっとスゴイ。圧のようなものを感じます。
写真では10分の1も感動が伝わらないのはなぜなの?
肉眼ってスゴイ、人間ってちっぽけ…と感じることしきり。

そして、2つ目の山頂、オキの耳(標高1,977m)に登頂。

岩に座ってしばし休息。雲が晴れて、お日様が顔を覗かせ…
刻々と変わる天気に、しばし見とれるのでした。

岩に座って眼下を見下ろすと、足元がザワザワするような絶景が…! (@_@)
遥か向こう、雲の切間に一の倉沢が見えました。

写真ではちっともそう見えませんが…足元の岩のすぐむこっかわは、完全に切り立った断崖絶壁。
ゾワゾワ感を出すために、足も映してみましたが…どうでしょう?(^-^;)


絶壁のキワで、青年たちが楽しそうにはしゃぐ図。ゾワいい光景…


ところで山頂には、何千何万というトンボが飛んでいた。
休憩している私の手にも何匹かがとまってくれて、ひとしきりナウシカ気分を楽しむ。
アキアカネは、夏は暑さを避けて標高の高い山地で暮らし、秋になると、平地に降りてくるのだそう。
そうか、君たち、夏はこんなところにおったのか。

ロープーウェーの天神平駅が見えてきました。

帰りは、同じルートを引き返す。
下るのは登りより大変だと感じ始めている私を知ってか知らずか、「下りって楽だな〜」とか言いながら夫がぐんぐん先に行ってしまうため、写真を撮る余裕一切なし…((( ;゚д゚))/マッテー!

ともあれ、往復5時間のルートを、3時間ほどで踏破。
日頃のジョギングの成果か、ほとんど息切れもしないし、結構楽勝だったな…アッハッハなんて思っていたら、
2日後、もうれつな筋肉痛に襲われるアラフィフだった…orz 

谷川岳の稜線を歩いていると、そこここに「おまえたち人間は、ここではよそ者なんだぞ」と言われているように感じる領域が確かにあった。
youtubeやTVの画面ではなく、険しい道をたどりつつ、自らの体をもって登らないと感じられない感覚だ。
知っているつもりで、知りもしないことが、世にはまだたくさんあるのだ。人生って面白い!

はじめての体験ができたこと、無事に生還できたことに感謝✨
ああ、楽しかった〜