思い出の「鳥ぎん銀座本店」

丸の内・銀座

「鳥ぎん 銀座本店」(東京・銀座)

お天気のよい銀座の昼下がり。今日はどこで食べようかとなって、夫が小さい時に母によく連れてきてもらったという「鳥ぎん銀座本店」の存在を思い出す。
銀座の西五番街通りの路地をちょっと入ったところに…

こんなところに!?

さらに地下へ。

ありました!銀座鳥ぎん本店。昔は1階に入り口があったらしい。昔っていつかと夫に聞くと、約45年位前!
鳥ぎんは戦後間もなくの創業だそうだ。お店の前には数人のお客さんが待っていたので、しばし待つ。

銀座のランチタイム。空席が目立つ地上(?)のお店も多いご時世にも、鳥ぎんは地下にあるにもかかわらず多くのお客さんで賑わっていた。思ったより店内は広く、明るくゆったりとして気さくな雰囲気。
釜めし…どれも食べてみたいが、私は亡くなった母が好きだったという「かに釜めし」にすることにした。

平日ランチ限定のおトクな「釜めし焼きとりセット」なんてものを発見。これにしよう。

注文したあと目移り…いやいや。定番メニューがいちばんいいのだ、と自分にいいきかせて待つ。

「お客様にご注文をいただいてから、釜めしを炊き始めます」とあり、15分は待つらしい。15分か…。
空腹を紛らわすためきょろきょろ。箸袋に発見。みなさん!釜めしはKettle Cooked Riceと言いますよ。

そうこうしているうちに先に焼き鳥が到着。塩とたれが選べるので、夫と1皿づつお願いした。
想像以上のやわらかさと香ばしさに喜ぶ。炭火で焼いたやわらかさだ! 美味しい! 鶏の旨味が凝縮した味わい。
なんでも最高級和歌山紀州産馬目樫備長炭を使い、茨城産のこだわりの鶏をその道20年以上のベテランが一気に焼き上げているそうだ。どうりで…。

焼き鳥もすっかり食べ終わり、さらに釜めしを待つ。(焼き鳥セットにしておいて本当によかった…)
お腹すいた…もう限界、と思ったらついに釜めしがやってきた!
年季の入った釜を開けると、

湯気のむこうにほっこりおいしそうな蟹が。

柔らかな蟹と滋味あふれるご飯が絶妙。しゃもじでお茶碗に盛っていただきます。
ほっとする味わいに思わずためいき…。美味しいな。
(本当は到着後、一呼吸置いて蒸らしてから食べるといっそう美味しいのだそう…あとで知る。待てなかった…)

夫は「五目釜めし」を注文。味わい深いごはん、鶏のそぼろや甘く煮た肉厚のどんこ、たけのこなど具だくさん。
少し交換し、美味しさを共有しました。こっちもいいね。

鶏スープも深い味わい。釜めしの出汁も最高級の昆布とこんぶだしを使っているのだそう。
このスープは鶏出汁かなと思うけれど、こちらも淡く美味しいスープだった。

レジ近くにかかっていた昔の鳥ぎん本店前の様子。カジュアルで活気のありそうな、昭和の鳥ぎんにも来てみたかった。
亡き母とよく来た小学生の夫は、釜めしはさほど好きじゃなかったらしいけど、そういえば私もそうだった。
釜めしの美味しさがわかるのって、年をとる楽しみかもしれない。

帰り際、店内を見渡す。にぎやかに談笑する年配のお客さんたちが多い。なんだか本当に美味しいものをよく知っている人ばかりに見えてきた。派手さはないけれど、銀座で変わらずに愛される老舗って理由があるんだろうなとしみじみ。

私にもとても良くしてくれた義母に想いを馳せながらの今日のランチ。一緒に来てみたかったな…。
また釜めし食べに来よう。ごちそうさまでした。

鳥ぎん 銀座本店
東京都中央区銀座5ー5ー7
電話 03-3571-3333
営業時間 月〜日曜(祝日も含む)11:30〜21:00
定休日 年末年始