「せいろいちまい〜」の声に誘われて。連雀町の藪へ

神田・神保町

かんだやぶそば@神田淡路町

今日は軽めのものにしたくて、久しぶりにそばをたべに行きました。
「蕎麦を食うなら連雀町」が家訓(?)の我が家。自然に神田の藪蕎麦に足が向かいます。
連雀町とは、淡路町辺りをさす古い地名です。


到着時刻は、日曜日12時ジャスト!
だいたい20名くらいの行列。
よし…思ったより並んでいないぞとちょっと安堵し、旦那とふたりで並ぶ。

…待つこと15分ほど。順番が回って来た。けっこう回転は早い。


案内された席に着席とともに、さっそく注文。
いつも決まって、夫婦でせいろうを4枚(1枚670円)、それと天たね(1340円)1つをシェアだ。

この緑色のお蕎麦をみると、やぶそばに来たという気持ちになる。

天たねは、芝海老を高温の濃口胡麻油でかき揚げしたもの。
熱々をそばつゆにつけていただくと、サクサクとした食感とごま油の風味が広がり、ゆずの香りが後から追って来る。

お蕎麦も、天たねも、やぶそばの「江戸の風情を強く残す、からいそばつゆ」によく合う。

江戸っ子が死ぬ前に「一度でいいから、つゆをたっぷりつけて食べたかった」と言い残したとかしないとか。
そばをつゆにどっぷりひたすのは、江戸っ子にとって野暮な作法だったみたいだけど、私は、この濃いつゆが好きで、やっぱりたっぷりつけたい。
でも、それは粋ではないんだっけと、ひとりやせ我慢と欲望のはざまで…
結局最後の一口はたっぷりつけることになる。

そして、神田の藪といえば、
「いらっしゃい〜」
「せいろいちまい〜」
という独特の調子で、朗々と歌い上げるような女将の声。
これは「通し言葉」と言うそうで、厨房まで女将さんの声が届くおかげで、そばを茹でる人、薬味や具の用意をする人、お膳を用意する人が、いっせいに効率よく動きだせるのだそう。紙の伝票が貴重品だった時代の名残りらしい。

へぇーと思いつつ、
私はこの声、店の雰囲気をつくる音としても、とても好き。
鈴虫の声や風鈴の音色のように、空気が涼やかに感じる。

やぶそばでは店員さんが「ありがとうぞんじます」と接客してくれるけれど、
こういった作法が、「通し言葉」とともに、いつまでもあるといいと思う。

風情ある建物、いつもにぎわっている店内、店員さんたちの掛け声、伝統の味。
ぜんぶが調和して、めくるめく江戸前蕎麦エンターテイメントをつくりだしている。
だから、そばといえば、まっさきに、神田の藪にいきたいと思う。

お店の入口に、建物の遍歴がわかる絵がかけられていた。
2013年に火災が起こる前の建物の様子も載っていて懐かしい。

それにしても創業1880年って!
古すぎて、私にはピンとこないよ…


そういえば、やぶそばでいつも気になるもの。
おしぼりのイラスト。↓


この目と手…   なんとも言えないゆるーい感じ。勝手に江戸萌えと呼んでいる。

もしも、せいろ2枚で足りないときは、
近くの「竹むら」で揚げまんじゅうを食べるのも、おすすめのコース。
こちらの建物も歴史ある建物です。

かんだやぶそば
東京都千代田区神田淡路町2-10
TEL:03-3251-0287
営業時間:11:30~(L.O.20:00)
定休日:水曜(祝祭日の場合は変更あり)