かわいげの細道?『ムーミンコミックス展』へ

体験レポート


先週末、あまりの混雑にあきらめた銀座・松屋で開催中のムーミン75周年『ムーミンコミックス展』に。平日の日中はスムーズに入場成功!

場内は写真撮影禁止でしたので、購入した図録から抜粋で。

今回の展覧会は、ムーミンのコミックスの展覧会。まず私はムーミンは児童書(あとアニメ)しか知らなかったので、英国の新聞で連載されていたコミックス版があるのにまず驚き、さらにそのコミックスは途中から、トーベ・ヤンソンの弟が15年以上引き継いで描いていたというのに驚いた!
絵も描いたことなかった人が数ヶ月の特訓で、代打に立ったってゆうこと!?  
すごい重圧だったに違いないのに、新聞社の担当編集者でさえ描き手の交替に気がつかなかったらしい…スゴい(笑)

鉛筆の下絵も残るトーベヤンソン版の原稿。ちょっと邪悪な表情のムーミンがおかしい…

ちょっと不気味で愛嬌のあるキャラクターたち。

そして下が↓弟ラルス・ヤンソンのムーミン。確かに言われてみれば…でも今まではまったく気がつかなかった!

当時の新聞の紙質はあまり良くなかったため、トーベの細かい描写はあまり新聞向きではなかったそう。ラルスムーミンは線が簡潔だと思っだけれど、シンプルさを求められた結果だったそうだ。なるほど。

それにしても、新聞に連載されていたコミックスのストーリーはけっこう現実的で面白かった。童話のムーミンからは考えられないような展開…。お金とか戦争とか…新聞の読者層を意識してのことなのかしら?
その中でムーミンらしさを感じたのは、第68話の『お金持ちってめんどうくさい』という話。

スノークの女の子が軽い気持ちで手を出したサッカーくじが、いきなりの大当たり。転がり込んできた金貨の袋の山に、ムーミンたちのてんてこ舞いが始まる。(中略)残った金貨の袋をひとつづつ隣人たちに分けてみたが、なんだか関係がギクシャクしだす。慈善の対象になったみたいでいやなのだ。(中略)業を煮やしたママの発案で、ある夜、丘の上からムーミン谷めがけて、金貨の袋すべてを積んだ台車を転がり落とす。だれだって、金貨を恵まれるのはいやでも、散乱するモノを回収するのは好きなはず、とはママのご明察。

『お金持ちってめんどうくさい』

ママの意見には、いつもハッとさせられる…。

それにしても、ムーミンてどうしてこんな人気なんだろう(私も好きだけど…)
今日はその謎に少し迫った気がする。ムーミンの世界の細道に分け入って、見て回って来たような。
とにかく「かわいげ」で満ちていた。
このかわいげが世界共有の感覚だとすると、それもスゴいことだと思う。

銀座・松屋は来週12日まで。
その後は日本中を回るみたいです。→開催スケジュール